保護犬を迎える時に大切な事
私がインターネットで保護犬を探すときは、殺処分期限が迫っている子を優先して見るようにしていました。
保護されて幸せそうにしている子たちよりも、どうしても保健所などの収容施設で怯えている子たちを何とかしてあげたいと思ってしまうんです。
保護犬を迎えるのであれば、見た目を気にするより、その子の置かれて来た環境や性格などの個性を考えてあげてください。そして、実際に会ってその子に寄り添ってみてください。迎えたらどんな子でも愛しく思いますよ。犬を迎えた方みなさんそう言います。必ずかけがえのない存在になります。
保護犬を迎えるという選択をされた方は、少なからず不安も感じていることでしょう。実際に私もそうでした。ですが、犬たちも同じように不安を抱えています。いや、私たち人間より不安を感じているのかもしれません。
ここからは保護犬を迎えてからについて少しお話ししていきますね。
保護犬を迎えてから
犬はこうだという固定観念にとらわれずに、何事もその子の個性として受け止めて欲しいと思っています。
どのような方法で犬を迎えても予想外は付き物です。
我が家に来たすずの場合、
ブリーダーさんからはごはんをよく食べる子だと聞いていたのですが、うちに来たばかりの時はごはんを全く食べませんでした。
2日間ぐらい排泄もしませんでした。また、トイレトレーニングができていない、糞尿まみれだったこともあり汚れていることに慣れてしまっている成犬だったので、トイレトレーニングが大変でしたね。
でも、いい意味での想定外もありました。人とのコミュニケーションを取るのが好きな子だったんです。それに気づいた時はすごく嬉しかったですし、イキイキとトレーニングに取り組む姿を見ると、この子のためにもっと何かしてあげたいと思いましたね。
おとの場合は、
元野犬(山の中で生まれ育った犬)だったので私も未知数でした。一つ一つ慣れるまでに時間がかかるかもしれない。お散歩も怖くて歩かないかもしれない。私という存在を拒絶するかもしれない。でもどんな事があっても最後まで家族として一緒に暮らす。と覚悟して迎えたのですが、意外にも我が家に来た初日。部屋の中でフリーにすると自分の足で動き回り、なんと尻尾もしっかりと上がっていました。初めての場所というのに、ごはんもよく食べてくれていましたね。ボランティアさんのところに初めて会いに行った時、抱っこをしたら私のことが怖くてちびってしまっていたおと。その時はかなり怖がりな子だと思っていたからこそ、いい意味で裏切られ拍子抜けしました。
成犬の保護犬、パピーの保護犬、どちらを迎えるにせよこの子たちの過去も全てまるっと受け入れて、これから先も一緒に成長したいと強く強く思いました。
同居犬(先住犬)がいる場合
同居犬はお互いに影響を受け合います。
すずは食べることと寝ることが好きなインドア派の子です。すずが我が家に来た時にはラン(ポメラニアン)という先住犬がいました。
ランは落ち着きがあり、とても穏やかな性格でした。外に出て走り回るより室内でゆっくりと自分の時間を過ごすことが好きな子で、すずとの相性はとても良かったです。我が家に来てすぐの不安な中、ランという存在はすずにとってとても大きく、頼もしい存在になっていました。
ですがランからすると、すずという知らない犬が来たことに戸惑いがあったかと思います。そりゃそうですよね。すずが来るまではひとりで気ままに過ごしていたんですから。そんな中にいきなり知らない犬がやってきたらストレスも感じますよね。
すずの不安を取り除くことはもちろんのこと、先住犬ランへのフォローも同じくらい大切にしていました。
その後ランが亡くなり、すずだけになった我が家。そして半年経った頃お迎えしたのがおとでした。
すずは食べて寝ることが好きで、食べ物以外には基本的には興味がなかったのですが、おとが我が家に来て行動が変わりました。おとは野犬だったこともあり、好んでよく木の枝や葉っぱなどをかじります。それを見て、今まで一切そんなことに興味がなかったすずが木をかじるようになったんです。それには私も正直ビックリしましたね。
もともとすずはお散歩に対して、行くならついて行きますけど、行かなくても全然いいですよ〜って感じだったんです。でもおとが来てからは外に出かけることに積極的になりました。ただ外に出るだけじゃなくて、しっかりと楽しんでくれるんですよね。それにまたビックリさせられました。
ですが、あまり良くない影響も受けましたよ。すずもおとも食べることが大好きです。なのでおとがすずのおこぼれをよく狙うんですよね。もちろん逆もあります。ランと一緒に過ごしていた時は食べ物に対してそこまで執着が無かったものの、今では食べ物に対して少し必死さが見られるようになりました。今後すずとおとがぶつかってしまうことがないように、大きな問題に発展していかないように日々注意して暮らしています。
2頭目を迎えるタイミングは慎重に
犬と暮らしている中で、新たに次の犬を迎えたい。と思うこともあるかと思います。迎えることを決める前にまずは先住犬の事をよく知っておくことが大切です。本当に今、次の子を迎えるべきタイミングなのかを先住犬の視点で考えてみてください。特に成犬の保護犬を迎えるときは先住犬のことをよく観察してあげて欲しいです。
成犬の保護犬は過去に何か不安だったこと、怖かったこと、辛かったことなどがあるかもしれません。もちろんパピーの保護犬でも同じことが言えますが、成犬の方がその思いが根強く残っていることがあります。なので先住犬との相性はとても大事なのです。
先住犬が新しい子を受け入れることができるようになるまでは、無理に迎えようだなんて思わないでくださいね。きっと先住犬も飼い主さんもとても大きな負担を抱えてしまいますよ。
飼い主さんが一番愛犬のことをわかっているとは思いますが、もし不安に思うようであれば次の子を迎える前にドッグトレーナーに相談することもおすすめです。飼い主さんとは違う視点で愛犬を見てくれますので新たな発見があるかもしれませんよ。
そして何より、飼い主さんの生活の余裕が長期的に続くタイミングでお迎えするのも大切です。
次の子を迎える前にしっかりと計画を立てて、先住犬も新しく迎える子もなるべくストレスなく生活できるようにしてあげましょうね。
情報に振り回されずにその子と向き合う
同居犬を迎えて多頭飼いをすると、生活の中でいろいろと気をつけるポイントが出てきます。
何か問題にぶつかった時にまずはネットで情報を得るのが普通だと思いますが、ネットに書かれていることはあくまで一般的な改善方法の一つです。
その方法が愛犬に合っているのかまではネットでの情報だけだと分かりかねます。ネットに書かれていることや固定観念に惑わされず、目の前にいる愛犬のことを見て、その子たちが心地よく生活できるようにしてあげることが大切です。
ごはんは必ず先住犬を先にするとか、お散歩も先住犬から先にしなければいけないというルールに従ったために犬同士の争いが生まれてしまっている事もあります。これは本当によく聞く話なのですが、どこでそのような情報を得たのでしょうか?昔からよく言われているからでしょうか?曖昧な情報にとらわれずに、どうしたら愛犬たちが気持ちよく食事ができたりストレスなくお散歩ができるかで考えてあげてください。
「うちの犬ってこういう子なのよ」「犬っていうのはこうあるべきだ」「先住犬と同じ方法で育てよう」
そんな考えにとらわれないでください。犬の個性はそれぞれです。その子はその子です。特に成犬の保護犬は過去に何があったのか分からないですし、本当の姿を見せてくれるまで時間がかかる子も少なくありません。犬としてではなく、一つの命として寄り添い、一緒に暮らしていく方法を考えていくことがお互いが幸せに暮らすことのできる唯一の方法です。
先住犬と同じようにしようとしても出来なかった。出来ないことにむやみやたらに叱ってしまって関係性が悪くなってしまった、というのもよくある話です。出来ないことだってありますよ。だって、その子はその子で考えていることが先住犬と違うんですから。時間をかけてじっくりゆっくりとその子と向き合ってあげることが大切ですよ。